「ついやってしまう」体験の作り方


■所感
任天堂でWiiの企画をした方の著。
ゲームをベースにした体験デザインの解釈であり、ゲームの楽しさの裏付けやそのための仕組みは良く分かった。
そこから切り出して一般的なビジネスシーンや企画に応用できる部分があるとは思うもののあまり興味をそそる内容ではなかった。

■ピックアップ
・人の行動を変えているのは、シンプルで簡単であるかどうかです。
体験の成功率を上げるためには、体験そのものを簡単にすることが絶対的な条件です。

・企画の会議が行き詰まった時「良い企画」ではなく「駄目な企画」について語れ。
沈んだ空気のの中で議論していると自然と「性能が良い、安い」と言った保守的で創造性を欠いたアイデアへと偏っていきます。「前向きで建設的なことを言わねばならない」という暗黙のルールを壊すことで議論に自由さを取り戻したい。

・プレゼン資料は接続詞で次のスライドに繋ぐことにより集中力を絶やさない。

習慣が10割


■所管
典型的な自己啓発で物事が続かない人には効果的な気がする。
自分に当てはめると割と続くタイプなのであまり響く内容ではなかった。

■ピックアップ
・今の自分を作り上げたのは自分自身である。
過去の言葉や行動、思考など1つ1つの積み重ねが今の自分を作り上げてきたのです。

・人間は楽しいことしか続かない

・人間の脳はマイナスの感情ほど記憶されやすい

・営業職や販売職で高い売上を上げる人は、例外なく「自社商品への信頼」と「会社への恩」を抱いています。

教養としての宗教入門


■所管
宗教を探求するゲームと例えるくらいの筆者の距離感は好ましく思える。

■ピックアップ
・宗教と道徳は違う、信仰と社会秩序とは別次元の問題という意見もある。

・日本人は欧米人が教会に通ったり、アメリカ大統領が聖書に手を当てて宣誓したりするのを見ると彼らがみな濃い宗教心を持っているかの印象を受ける。しかし、彼らの宗教的振る舞いの多くは、日本人が正月に初詣に行ったりするのと同様の習慣であったり政治的行動であったりするのである。
ほとんどの人間がやっているのは神への祈りなどではなく、せいぜい神頼みだ。

・仏教は神様を拝むようなものとしてでなく、人間が修行をして悟りを開くことを目指す宗教として出発した。

・宗教戒律は一般的に欲望を制するような方向性を持っている。盗むな、酒を飲むな、セックスを控えよ、断食せよ、金銭に触れるなといった抑制的な禁忌は、欲望を駆り立てることでむしろ社会を活性化しようとしている現代社会の原理とは反対向きのベクトルをもっている。

・ユダヤ教
キリスト教より千年以上の長い歴史がある。
ユダヤ教徒はほぼユダヤ人。
モーゼの十戒。

・キリスト教
カトリック教会の長が教皇(ローマ法王)
カトリックの権力機構にプロテスト(抗議)したのがプロテスタント。
儀式を執行し信徒を指導する役職の呼び名は、カトリックでは司祭(神父)、プロテスタントでは牧師。
概してプロテスタントよりカトリックのが保守的であり、東方正教会は更に保守的。
プロテスタントは儀式を行うより、聖書を読む事を好む。
カトリックはミサなどの儀式を重視し、教皇以下のヒエラルキーを厳格に守っている。

心との戦い方


■所管
ヒクソンの生立ちやエピソードから精神的なユレやそれに対する気持ちの置き方を紹介している。
トップアスリートなので物言いは傲慢な部分が見受けられるがトップアスリートなので気の強さはあたりまえかもしれない。
ただ、弱い人間の気持ちはわからないであろうとかんじる。

■ピックアップ
・心拍数のコントロール

・人は自分の内面が指し示すところに忠実に生きなければいけない。何者からも独立した精神を持ち自分が思うがままの決断をし、いつでも自由に進路を変更できる人間でありたい

・ブラジル人が最も優先するのは、家族や恋人や、親しい友人と過ごす時間であり、自分がひいきにするサッカーチームを応援することであり、趣味に熱中することなのだ。
彼らは時間があればあるだけ人生を謳歌する。
そこには貧富の差も社会階層の差もまったく関係ない

優生学と人間社会


■所管
4名の筆者らにより優生学について時代を追いながら解説されている。
4名に分かれているので、内容の被りや描き方の違いがややわかりにくかった。

中身としては人の善悪、物事の良し悪しの判断を考えさせられる内容だった。
例えば優秀な人間だけを残し文明が進化したとする。しかし、行く末は資源を使い果たし種が滅ぶとなった時果たして優秀であると思われていた人間は本当に優秀であると言えるのか。
IQや偏差値での優劣は学業上の線引きなだけであり、本質的に優秀であるかはわからない気がする。
また、生物学的に考えたときの逆淘汰という概念は面白い。
優生学が差別的な事なのか必要なものなのかは判断の難しさを感じた。

■ピックアップ
・遺伝子の操作は生命の核心に手を触れるという特別のタブーの意識を人に起こさせる。遺伝子組み換え食品への抵抗感はそのあらわれだろう。

・シャルマイヤー
良い遺伝形質を積極的に増やそうとする積極的優生学と、悪い遺伝形質を抑えようとする消極的優生学がある。
しかし良い遺伝子遺伝形質を意図して増やすのは人間では難しい為、現実に行われたほとんどは消極的優生学でありその代表例が断種法である。

・遺伝子決定論
遺伝子が身体的、行動的形質を決定するという信念。

・医学ないし公衆衛生の発達がそれまで淘汰されてきた虚弱な個体が延命と生殖を許されるようになった。淘汰のメカニズムは欠陥を持っていたり、全般的に虚弱な人間を延命させる医学の働きにより弱められている。

・プレッツ
戦争は優秀な者から犠牲になり逆淘汰を引き起こす。

・逆淘汰の原因
優良健全な階層における子供の産み控え、劣悪者の高出生率と医療、福祉の発達による死亡率低下、戦争による壮健な青年の多くが命を落とす結果、優良健全な者の子孫が減ることが逆淘汰の原因とみなされた。

・ダーウィン
自然淘汰。本来は淘汰されるべき虚弱者を生き長らせることで、人間という種の進化を阻害している。

・フランス
遺伝がすべてを決定するとは考えず受け継いだ性質を変える力を環境要因に見出す考え方。