言ってはいけない


■所管
アイデンティティは集団への帰属意識という点は新しい情報でなかなか為になった。

■ピックアップ
・アルコール依存症、精神病、犯罪の遺伝的影響は顕著。

・税金を投入して高等教育を無償化したところで、教育に適正のない最貧困層な困窮はなにひとつ改善しないだろう。その代わり、知識社会に適応した高学歴層の既得権がまたひとつ増えるだけだ。「知識社会」とは、知能の高い人間が知能の低い人間を搾取する社会のことなのだ。

・幼少期の安静時心拍数の低さと、反社会的・攻撃的な行動は相関する。要因の1つは恐怖心のなさ。心拍数の低さは恐れの欠如を反映している。
などの仮説がある。

・人種差別やホロコーストを経て「穢れた血が子供に引き継がれる」という考え方はタブーとされた。だったら高貴な血の神話も一緒に捨て去らなければならないが、そうすると王制の根拠がなくなってしまうので残すことにした。
こうして「高貴な血は引き継がれるが、穢れた血は遺伝しない」という都合主義なイデオロギーが政治的に正しいとされることになった。

・人は社会的な動物で集団から排除されれば一人では生きていけないのだから、アイデンティティというのは集団への帰属意識のことだ。
親のいちばんの役割は子供の持っている才能の芽を摘まないような環境を与えること。

遺伝子の不都合な真実


■所管
個体差があることを覆い隠そうとする現代社会に異を唱える内容。
自分も同じように思っていたので共感する部分は多かった。
劣っている者は劣っている事を理解して対応していくべきである。

■ピックアップ
・問題なのは不都合な真実から目を背けさせているのが単に一部の人たちの私利私欲や利権だけでなく、私たちの誰もが抱くささやかな願望や善意や誠意にもあるということ。

・遺伝を考慮に入れず環境を平等化するだけで問題の解決を図ることが正しいという主張の方が世の中に受け入れられやすくなる。問題へのこの取り組みが先延ばしにされていることが本質的な問題。

・遺伝を理由に人を差別してはならないのは当然のこと。しかし、だからといって、遺伝による個人差があるという事実を無視したり否定しようとするのは、いかに善意と正義に満ちたものであっても知的に誠実であるとは言えないはず。
必要なのは遺伝の影響をみすえたうえで、環境とのかかわりを理解し設計していくしかない。

・科学的エビデンスがあり、遺伝の影響があることは事実。環境や教育が重要であることも事実。それらを両立させることのできる考え方が示されればよい。

・遺伝子が生み出す状態に対してどのような価値判断を下すかの問題が生じる。遺伝子自体は40億年も前からの来歴をもってここに存在している。それに対して今私たちがたまたま住んでいる社会や文化の価値観で貴賤をつける資格はどこにあるのか。
それに対して名前をつけ、意味づけているのは私たちであり、その主たる名付け親は医学の研究者たちである。

・時間選考
時間選好率とは、将来に消費することをあきらめ、現在に消費することを好む割合のことです。時間選好率が高い人ほど将来にお金を残さず、低い人ほど貯蓄額は増えます。

もっと言ってはいけない


■所管
言ってはいけないの続編。
著者の歯に衣着せぬ物言いは個人的には好きである。
世の中、正しい事であっても正しく伝えない風習がある。
そこに警鐘を鳴らす姿勢は正しいと感じる。
バカは自分を愚かだと知り、それ相応の行動を考えるべきだと思う。
自分を知る事により対策も立てられるのでそういった真実を覆い隠す世の中は差別的だのなんだと騒ぎすぎていると感じる。

本書に関しては人種の起源からの考察についてはエビデンス示すものの、エビデンス自体の信憑性に欠けていてそれらを元にした推測には怪しさを感じた。
前半の方が為になる内容だった。

■ピックアップ
・統合失調症の遺伝率は82%、躁うつは83%、自閉症は男児82%、女児87%、ADHDは80%。
身長の遺伝率が66%、体重が74%と比べると精神疾患の遺伝率は高い。

・行動遺伝学の知見によるとIQの遺伝率は77%。

・不安感が強い人間は将来を心配し、そのため現在の快楽を先延ばしさようとする。(時間的選考率が低い)

統計学が最強の学問である


■所管
統計学について幅広く説明されている。
前半はわかりやいが中盤以降は専門的で難しい内容となっていた。
統計学を学んでいる、もしくはこれから学ぶ人には良いかもしれない。
ざっくり統計学を知る分には前半のみで良かった。

■ピックアップ
・誤差の範囲を計算する
→カイ二乗検定

・いくら考えてもわかるわけがないことに対して、よく考えたり話し合えばわかるようになるだなんて思うこと自体たいへんバカな思い上がりである。私たちにできることはランダムな統計解析結果に耳を傾けることだけである。

・優生学、断種
→ダーウィンの従兄弟ゴルトンの優生学については統計学とは違う部分で興味を持てた。

ずるさで勝る水平思考トレーニング


■所管
ロジカルシンキング(垂直思考)に対してラテラルシンキング(水平思考)を推奨する内容となっている。
各問題は実際の事業事例に基づいている物も多く机上の空論に感じさせない説得力がある。
ただ、問題の出し方としては不完全な物も多く、問題の出し方としては上手いとは言い難いものが散見された。
以下のピックアップははっとさせられる一文であった。
発想の転換に関しては知らぬうちに状況に染まって出来ること、出来ないことを決めてしまっている部分は大いにあり日頃の業務においても多角的視点を持つこと、もしくは第三者の意見を仰ぐことも大切であると感じた。

■ピックアップ
・発想の転換は、若者、よそ者、バカ者の三者によって成される。
この三者は前提を気にしないか知らないからこそ大胆な発想ができる。

・ロジカルな事はコンピューターがやってしまう。